第24章 アクアパーク川品
もう彼女を言いくるめて、置いていく事は無理だと悟る。
安室「…では、約束してください。
僕の側を、絶対に離れないで下さいよ!
あと、僕よりも前に出ないこと!
いいですか?」
彼の言葉を聞いて、彼女はやっと納得したのか、満足そうに笑みを浮かべて
椛「わかりました。」
と一言だけ答えた。
それを合図に、2人で姿を忍ばせていた柱から出て、先ほどの男が向かった先へと足を進める。
椛「また爆弾が仕掛けられてるの?
場所はもう分かってるんですか?」
向かいながら小声で、先程から気になっていた事を尋ねる。
安室「あぁ、一つは確認して、今、爆発物処理班がそちらに向かっている。」
椛「一つ?
仕掛けられてるのは、一つだけなの?」
安室「僕が確認出来たのはね。
…それよりやはり貴方は聞かないんですね。
本当だったら、1番疑問に思うような事を。」
椛「…
何がですか?」
安室「初めて会ったあの日から、本来だったら普通疑問に持ち、質問して来るような内容の件を、貴方は僕に質問してきた事は今まで一度もない。」
その安室の言葉に何も返さず、彼の言葉の続きを待っている様子の彼女。
安室「何故爆弾処理ができるのか?とか。
何故ピッキングが出来るのか?とか。
ドラフト運転の事も、先日の拳銃を持っていた事も…
普通は聞きますよね?」
椛「…それは、安室さんが私立探偵だと伺ってたので。
その延長で、必要な事を身につけたのかと思ってました。」
安室「…そうですか。
椛さんにしては、中々心苦しい言い回しですね。
…やはり貴方は、最初から知っていたんでしょう?
僕の正体を。」
椛「…何の事ですか??」
安室「いえ、いいです。
もうこちらは腹を括ったので。」
椛「??」