第24章 アクアパーク川品
それでもやはり、怪訝な顔を向ける安室は…
安室「…ここから先は危ないんだ。
椛さんを危険な目に合わせたくない。」
彼女に目線の高さを合わせて、訴えかける様に言葉を放つ安室。
基本はいつも受け流しているが、最近特に度々繰り返されるこのセリフに、流石に苛立ちが積もり、今回ばかりは本音を言う。
椛「そんなの私だって同じです。
それに、何故いつもそんなに何でも1人で抱え込もうとするんですか?
確かに、安室さんは何でも1人で出来るかも知れないけど、1人よりも2人の方が出来ることが多いに決まってる。
1馬力と2馬力、全然違うよ!」
彼女の言葉に、初めてミッドタウン杯戸で、共にダブルトリックの爆弾を処理した時の様子を思い出す。
爆弾を目の前にして
『怖くないのか?』と尋ねた時、
彼女は
『守ってくれると信じてるから、前に進める。』
と言っていた。
今も目の前にいる彼女は、安室に向けて真っ直ぐ言葉を放つ。
出会った頃と変わらない、意志の強い光を瞳に宿していた。
安室(あの頃の俺は、あんなに彼女の事を疑ってかかっていたのにな…
今思えば…
君は出会った時からずっと、真っ直ぐ言葉を紡いでいてくれたのに…)
そのまま見ていると、その黒い瞳に吸い込まれそうな錯覚に陥る。
椛「ほら!
そろそろ行かないと、見失って追いつけなくなります!」
彼女は安室の手を引いて、柱から出て行こうとする。
それはまさしく彼女の言うとおりで、正直ここで平行線の会話を続けていても、時間を食うだけだ。
安室(本当にもう…
この人は…)