第24章 アクアパーク川品
そのまま手を引かれて、人目が付かない近くの柱の隙間に連れて行かれる。
そこからは会場が見渡せる小窓があったため、今し方中止になったショーに対する観客たちの騒ぎ声と、引き続き繰り返し流れるアナウンスがよく届いていた。
その会場から聞こえる音に紛れる様に、言葉を発する。
安室「何故あなたがここに居るんです?」
深く被る黒いキャップから、ライトブルーの瞳を覗かせて彼女に視線を投げかける。
暗くてハッキリとは見えないが、その表情は気持ち険しく見えた。
そんな彼とは対照的に、いつも通りの様子の彼女。
椛(何だかもはや懐かしいな。このフレーズ…)
そんな事を思いつつ、彼の質問に言葉を返した。
椛「蘭ちゃんと園子ちゃんに誘われて、ショーを見に来ました。
ショーを見てたら安室さんの姿が目に入ったので、声をかけようと思って。
安室さんこそ、そんな格好でコソコソ何やってるんですか?」
彼女の言葉を聞き、さらに険しい表情を浮かべる安室。
安室「…すぐここから離れて会場に戻るんだ。
誘導に従って観客達と一緒に、会場を出てください。」
彼女の質問には答えずに、一方的に話をする安室に対して、何かを察したのか…
椛「…次はここが狙われてるの?」
その言葉に、彼女は先日から続いている、爆発事件の事を言っているのだと、容易に分かるが…
安室の方はどこまで言うか一瞬、言い淀む。