第24章 アクアパーク川品
園子「システム障害ってなんだろ…。」
蘭「椛さん、大丈夫かな…。」
園子「今立ったばかりだし、いくら電話中だったとしても、今のアナウンスは流石に聞こえてるわよ!
椛お姉様なら大丈夫よ、きっと。」
今し方、席を立って行った椛を心配する2人。
とにかく何事もなく、無事でいる事を祈る。
かたや椛の方は、突然中止になったショーと、流れるアナウンスを横目に、先程見た人物を追って、対角線側の座席後方まで急いで移動していた。
そして、目当ての人物を少し先に確認する。
ブラックデニムだろうか?
色の濃いめのデニムパンツに、黒いパーカー。
黒のキャップを被っているが、そのキャップから覗く髪色には見覚えがある。
気付かれない様に遠目からその姿を確認していると、その人物は静かに、関係者入り口に入って行った。
急いで後を追い、彼女も同じ扉から中へ入る。
中へ入るとバックヤードには、長い廊下が続いていた。
すぐ先程入ったはずの人物は、廊下の先には確認できない。
椛(見失ったかな…)
足音を立てない様に、廊下を進み探そうとすると、すぐ後ろに気配を感じた。
急いで距離を取るが、コンマ数秒間に合わなかったのか、既の所で左手首を掴まれた。
すぐに後ろを振り向くと、先ほどまで追っていた人物の姿が目に入る。
そしてその口元に、人差し指を立てて当てていた。
『声を出すな』という事だろう。