第23章 協力者の日常
事務的な連絡事項をいくつか交わして、彼女は自分の音出しに戻る。
定刻になると、指揮者がリハーサル室に入ってきた。
クラシック独特の空気感の中、今日の演奏が始まる。
指揮者が指揮台に立ち、腕を上げる前までの、少し張り詰めたような緊張感がとても好きだ。
3時間ほどの全体合奏が終わると、一気に全員で撤収作業に入る。
ここのメンバーは団長もしかり、皆人柄が本当に良くて、大型楽器を扱う打楽器パートを担当している彼女の片付けを、手が空いた人からいつも順に手伝ってくれる。
生の楽器の音色と、その一部分に自身もなっていいるというオーケストラならではの感覚。
そして程よいプレッシャーを感じながら演奏する時間は、いつもとても心地よい。
いつも合奏終わりは、人の優しさと温かさに触れて、心が満たされる事を感じながら今日も帰路に着いた。
自宅について時計に目をやると、時刻は22時をもうすぐ指す頃合いだった。
椛(昨日安室さんが、寝ぼけて電話かけてきた時間だ、、、w)
昨晩と今朝の彼の様子を思い出すと、思わず表情が緩んでしまう。
椛(次、彼と顔を合わせるのはいつだろうか、、、。)
そんなことを思いながら、デスクに座り、パソコンを開く。