第23章 協力者の日常
急遽空いた時間で彼女が向かった先は、都内にある『シュミレーションクレー射撃場』。
黒田に射撃の訓練を受けているとは言っていも、練習できる時間も実弾の数も限られている。
出来るだけ早く、射撃の腕を身につけたかった彼女は、
『何か他に自主練の様な事は出来ないか』と色々思案した結果、黒田の訓練が始まると同時に、ここにも定期的に通い始めた。
ここで扱えるのは拳銃でもなければ、実弾でもないが、クレー射撃は『動いてる的』に向けて射撃するので、発砲するときの『集中力』を養う事に良いのではないかと思い、そのまま通い続けている。
それにオリンピック競技とも合わせて訓練が出来るため、扱うシュミレーターの銃の作りも重さも実物の物と全く同じ。
そして実際やってみると、普通に楽しいし、何かに集中できる時間はとても心地よい。
結果、彼女は本来の目的を差し置いても、普通にハマってしまった様だ。
受付で予約している名前を告げると、もう通いなれたもので射撃の訓練の準備をしていく。
いつものように1時間程しっかり打ち込むと、動いているわけでは無いのに、じんわりと汗をかいていた。
シュミレーション用のイヤーマフを外すと、もはや顔なじみになってしまったスタッフの方に声をかけられる。
スタッフ:篤「お疲れ様です、椛さん!」
椛「あぁ!お疲れ様です♪ 篤さん。」
声をかけられて振り向くと、初めてここに来たときに指導に当たってくれたスタッフ兼インストラクターの篤だった。