第20章 緋色のカレーライス
赤井「…椛は、その彼のことが好きなのだろう?
まぁ、人の恋愛にとやかく言える立場ではないが…。」
彼女はその赤井の言葉に、手元の紅茶に向けていた視線を上げて彼の方に視線を移す。
椛「…何でそう思うの?
一緒にいる所、秀一見た事なくない?」
少し怪訝そうな顔で彼に問いかける。
赤井「その彼の話が出る時、椛は女の顔をしているぞ?」
椛「えっ?」
怪訝そうな顔から、少し眉間に皺を寄せて言葉を発する。
椛「…私って、そんなに普段は顔に出ないタイプだと思ってるんだけど、そんなに分かりやすいの?
ジョディにもこの間、似た様なこと言われたわ…」
赤井「まぁ、普通にしてれば分からないが…
仲が良くなれば、そんなもんじゃないか?」
椛「…それも似た様なこと…
ジョディに言われた…。」
少し拗ねた様に、口を窄めて言うものだから、その表情を見ていると、思わず笑みが浮かぶ。
赤井「ふっ。」
椛「…今、鼻で笑ったわね…」
赤井「いや、感情が豊かな事はいい事だろう。」
椛「だからって、顔に出て揶揄われるのは困る…」
そう言って更にむくれる彼女に対して、赤井は心の中で苦笑しつつ…
赤井「まぁまぁ、取り敢えず落ち着いて、もう一杯茶でも飲め。」