第20章 緋色のカレーライス
その彼女の様子はまるで、背景に『ルンルン♪』とつきそうな仕草だ。
彼女のご機嫌な雰囲気も相まって、今日の工藤邸のキッチンは、いつも以上に穏やかな空気が流れる。
秀一(今日も平和だな。)
彼女の様子に軽く笑みを浮かべながら、ひたすら引き続き、らっきょうの薄皮を剥き続ける赤井だった。
秀一「最近、仕事は忙しいのか?」
椛「うーん、どうだろう?
いつも通りって感じだよ♪
お陰様で♪」
秀一「昨日も仕事だったのか?」
椛「昨日?
昨日は仕事半分オフ半分って感じかな?」
秀一「昨日も時期的には、らっきょうのレッスンか?」
椛「いや、昨日はね、講座じゃなくて、展示会に行ってて。」
秀一「展示会??」
椛「そうそう!
発酵食品の展示会だよ♪
昨日のは大規模なやつだったけど、定期的に市場調査には行ってるから。」
秀一「ほぉ〜。
どこでやってるんだ?
そーゆーのは?」
椛「昨日は、東都ビックサイトでやってたよ。」
秀一「東都ビックサイト??
昨日爆弾事件が無かったか?
不発だった様だが。」
爆弾は爆発しなかったが、展示会場内、全ての人間に避難指示が出てた為、『なんの騒ぎか!?』と、現場の様子はしっかりニュースになっていた。
おそらく昨日、そのニュースを見たのであろう。
椛「あぁ。
私、朝イチから行ってたから。
目当てのブースは見終わってたし、予定の仕事は終わった後だったから、普通に帰ったよ?」
秀一「そうだったのか。
それは良かったな。」
椛「うん♪」
椛(流石にその犯人捕まえて、爆弾解除してたとは言えないけど…ははっw)