第20章 緋色のカレーライス
らっきょうの下処理を彼に任せて、今日の試食の準備を始める彼女。
その様子を、隣で横目で覗き見ている赤井の姿。
視線を感じ彼に声をかける。
椛「??
どうかした??
カレー気になる??」
赤井「カレーも気になるか…
いや、椛がいつも通り元気そうで安心した。」
おそらく、先日工藤邸に来た時の事を思い出して言っているのだろう。
椛「その節は、本当に色々ありがとうございました。
お陰様でこの通り元気です♪」
そう言って作業する手を一度止めて、赤井に向かって深々と改めて御礼を言った。
赤井「いや、大したことはしてない。
俺はただ…昔話をしただけだ。」
彼女はその赤井の言葉を聞くと、顔を上げて微笑んでいた。
いつもの彼女の自然な笑顔だ。
赤井(ちゃんと、乗り越えたか。)
彼女のその様子に、赤井も安心したように笑みを浮かべた。
椛「秀一も何か困った事があったら頼ってね?」
恩を感じているのか、前回の帰り際に言っていた言葉を再び口にした彼女。
秀一(もう十分返してもらってると思うがな…
案外義理深いんだな彼女は。)
秀一「…あぁ、分かった。
何かあったら相談に乗ってもらうことにしよう。」
彼のその言葉に満足したのか、嬉しそうに満遍の笑みを浮かべて、試食作りの準備に戻っていった。