第19章 東都ビックサイト
しかし時間は刻々と過ぎて行く為、安室は急ぎ、もう一つの爆弾の方に駆けて行った。
椛(大丈夫、ちゃんと集中すれば絶対できる!)
急ぎつつ、かつ慎重に。
中を確認しながら一つづつ外して行く。
天井付近で照明が近いせいか、先程までいた下の展示会場よりも、かなり気温が高い。
背中に汗が通り、時間と共に着物の肌襦袢がどんどん汗で濡れていく。
そのまま順調に解除していくと…
椛(これで…最後かな…)
最後のコードを外すと、タイマーのカウントが止まった。
残り4分程だった。
解体するために床に腰を下ろしていたが、安室の姿を確認するため、腰を上げて膝立ちになる。
すると向こうもちょうど終わったのか、こちらを振り向く姿が見えた。
両手で丸を作り、終わったことを知らせると、安室は頷き、こちらに向かって戻ってくる。
先程、上の部屋でかすめた男の拳銃を、しまっていたお太鼓帯の中から出し、爆弾から少し離れたところに置くと、彼女も立ち上がる。
そして安室と合流すると、2人で急ぎ会場を出た。
会場外に出ると、避難してきていた来場者達や、出店関係者達で未だごった返していた。
数十台のパトカーが止まっており、機動隊と爆発物処理班が会場内に入って行く姿が見えた。
そして先ほどまでいた会場の屋上には、ヘリが着陸する様子が見える。
恐らく先ほど屋上で、彼が電話していた件だろう。
その後、あのまま今の今まで男2人は拘束を解かずに気を失ったまま、あの場に留まっていたのだろうか。