第19章 東都ビックサイト
目をつけていた出店企業の所に足を運び、話を聞いては名刺を交換してを繰り返す。
チェックをつけていた企業を全て周り終わると、スマホを見て時間を確認する。
彼との合流時間より、15分程早く終わった様だ。
椛(約束の時間まで、このままフラッとしてても良いけど…
安室さんがどんなチーズ屋さん、チェックしてるかも気になるし…
私が向こうに向かおうかな。)
彼がいるであろう、チーズブースに向かって足を進めながら、電話をかけた。
コールを鳴らすと、3コール程ですぐ出てくれた。
椛「もしもし?
私、予定のブース周り終わったので、少し早いですが、安室さんの方に合流しようと思っているのですが、今どの辺にいますか?」
安室のいる場所を教えてもらい、そちらに向かって足を進める。
椛(電話越しで、
『実はあまり見て歩けて無いんですよ…。』
と言ってたけど、何かあったのかな?)
要領の良い、彼らしからぬ話に疑問が浮かぶが、取り敢えず彼がまだいるであろうブースに向かって歩いていると、少し先に軽い人だかりが出来ている場所が目につく。
椛(なんだろう?)
そう思って近づいて見ると、人だかりの中央に見慣れたミルクティー色の髪の頭が、少し飛び出て見えてきた。
椛(えっ?安室さん?)
どうやら人だかりの中心にいるのは、目当ての人物。
更に近づいていくと、話し声がハッキリ耳に入ってきた。