第18章 丹碧の手鞠
高明「椛さんはこのまま、自宅に帰られるのですよね?
もし良ければお送りしますよ。」
椛「えっ!?
でも高明さんはこのあと、長野に帰られるのですよね?」
高明「えぇ、そうですが。」
『それが何か?』とでも語尾につきそうな表情で、こちらを見下ろしている。
椛(大分テリトリーが広いのか…
遠方組は。)
高明「ご迷惑でしたら無理にとはもちろん言いませんが、せっかくなのでもう少しお話できればと思いまして。」
椛「う〜ん、それは確かに一理あります。
ではお言葉に甘えて、
お願いしてもいいですか。」
高明「えぇ、もちろんですよ。」
そのまま2人で、高明の車が停まる駐車場まで歩く。
荷物を後部座席に乗せてもらい、そのまま助手席のドアを開かれる。
椛(やっぱり、高明さんは紳士的プラス、動きがスマートなんだよな〜。
ヒロ君も、10年ぐらい経ったらこんな感じだったのかな…?)
過去の恋愛を引きずってる訳ではないが、高明を見ていると、否が応でも景光の事が頭に浮かぶ。
先程から、彼の話を2人でしていた事も影響しているだろうが。
助手席に乗り込むと、先に言葉を発したのは今度は彼女の方。