第18章 丹碧の手鞠
椛「どうして…」
高明「言ったでしょう。
貴方は私の弟が、大切に思っていた女性です。
その兄である私が、貴方が困っているときに、
手を差し伸べないなんて男が廃るでしょう。
貴方はどうやら、自分でちゃんと道を切り開ける女性の様ですが…
何かあればどうぞ、遠慮なく頼ってください。」
心温まる言葉に胸が熱くなると同時に、目の前に座る高明から景光の面影を感じる。
椛「分かりました。
色々とこちらの事まで気遣ってくださり、本当にありがとうございます。
何かあれば遠慮なく相談しますね。」
高明「えぇ、いつでもどうぞ。」
ひと通り、高明は彼女に対して聞きたかった事、言いたかった事を言い切ったのか、その後は穏やかな雰囲気で、頂いたお菓子を2人で口にしながら、雑談に花を咲かせる。
寡黙な男性かと思いきや、思いの外テンポよく話が弾むので、ついつい長話になってしまった。
高明と話をしながら、
椛(賢い人は、話のネタも豊富なんだな〜)
と、頭の中で何度も思う。
もちろん彼の人柄もあるだろうが。
あっという間に、そろそろ部屋を退出する時間だ。
まだまだ話し足りないが、とりあえず荷物を片付けて2人で部屋を出た。