第18章 丹碧の手鞠
椛「私が最後に連絡を取ったのは、彼の警察学校の卒業式の日です。
電話で話をして、それが最後でした。」
高明「そうですか、、、。」
先ほど流れていた穏やかな雰囲気から、2人の間を流れる空気が少し重たくなることを感じた。
高明「椛さんは、景光の配属先をご存知ですか?」
椛「いえ、当時尋ねましたけど、答えてはもらえませんでした。」
高明「そうでしたか。」
彼女の言葉を聞いて、少し考え込んでいる様子の高明。
椛(こちらからは何も言えないし、、、
黒田さんの話も、秀一の話も本当は伝えたいけど、、、
もどかしいな、、、。)
そんな中、先に言葉を発したのは高明の方。
高明「景光は、、、
椛さんの事をとても大切に思ってました。
その事は、景光の話ぶりからもよく伝わってきました。」
椛「えっ?」
高明「以前から考えていたことですが、
景光は恐らく、公安辺りに配属されたのでしょう。
そして、私とも、椛さんとも連絡を絶った。」
高明「自分の弟の事で言うのも何ですか、景光は優秀でしたからね。
警察学校で上位の成績を納めていたら、十分あり得る配属先です。」
椛「…そうですね。」
なんだか先ほどから、高明のペースでずっと腹の探り合いの様な会話が続いていると感じている彼女は、終始むず痒い。