第18章 丹碧の手鞠
高明「1つで構わないですよ?」
椛「では1つはお土産にどうぞ。
色がどちらもとても素敵なので、是非2個とも召し上がって頂きたいです♪」
高明「そうですか。
では頂きましょう。」
椛「はい。是非♪」
高明は受け取った包を、興味深そうに観察すると、袋からは開けずに、一旦そのままテーブルに置いた。
高明「椛さん。」
椛「はい、何でしょうか?」
高明「もしよろしければ、当時の景光の様子を教えて頂けませんか?」
椛「当時の…
講座での彼の様子ですか?」
高明「そうです。」
高明のその言葉に、当時の想い出が脳裏に鮮やかに蘇る。
椛「そうですね…
優しくて、人あたりも良くて、一緒に参加されてる生徒さん達からも信頼されてましたし、人気がありましたよ。
特に同年代の女子達からは。」
高明「ほう。」
椛「手先も器用で、頭も良いし、覚えも早くて、生徒さんとしても、とても優秀でした。」
高明「それはそれは。
そうでしたか…嬉しい言葉です。」
彼女の話を聞いた高明は、弟の事を思い出しているのか、とても柔らかい表情で彼女の話に耳を傾けている。
椛「高明さんからはどうだったんですか?」
高明「私からですか?」