第18章 丹碧の手鞠
椛「今回は泊まりでいらしてるのですか?」
高明「いえ、特にホテルは取ってないです。
終わったらそのまま帰ろうと思って、今回は車で来てますよ。
それに、万が一急に時間に呼び出されても、直ぐに移動できるので。」
椛「そうですか。
お忙しい中、本当にありがとうございます。」
高明「いえ、そこは椛さんが気にする所では無いのでお構いなく。」
普段は比較的、紅茶を淹れることが多いが、何となく日本茶の方が高明に似合いそうだなと思い、今日は日本茶を淹れてみる。
お湯を注ぐと、とても落ち着く香りが鼻を掠める。
トレイに乗せて、高明にも差し出した。
椛「どうぞ。」
高明「ありがとうございます。
頂きます。」
高明の座る向かいの席に、彼女も腰掛ける。
前回もそう思ったが、随分と動きに品がある方だなと思う。
湯呑みの持ち方も、飲み方も美しい。
椛(所作に性格がよく表れてるな〜。)
高明「早速ですが、実は今日椛さんにお渡したいものがありまして。
持参してます。」
椛「そうだったんですね。
わざわざありがとうございます。
何でしょう?」
そう言うと、高明は紙袋を一つ差し出した。