第17章 喫茶ポアロの新メニュー
安室(また、ものすごく視線を感じる…。)
少し顔に集まる熱が落ち着いてきた為、
彼女の方をそっと振り向く。
すると何故か満面の笑みを浮かべて、満足そうに何度も頷きながら、こちらを見ていた。
そっぽから戻ってきて、やっと再び目を合わせてくれた事に、彼女は満足したのか、
椛「では私は行きますね。
今日もありがとうございました♪」
彼女は再びドアノブに手をかけて、車を降りようとするが、
安室「待ってください!」
降りようとした所、右手を掴まれて止められる。
椛(懐かしいな…このやり取り。)
掴まれた自身の右手に目を向けると、彼の右手が重なっていた。
そして更にギュッと掴まれる。
椛(前回は左手で掴んでたのに、今回は右手なんだな…。)
なんて事をふと思い出す。
咄嗟に利き手の右手を出した安室は、身体を捻っている体制の為、必然的に前回左手で掴んでいた時よりも、2人の身体の距離はかなり近い。
掴まれている手から視線を上に上げると、彼の顔がすぐ目の前に見えた。
椛(今日も綺麗なライトブルーの瞳だな〜。)
普段は真っ直ぐ物事を見つめるその瞳が、今日は少しだけキラキラと輝きながら、どこか儚げに揺れている様に見えた。
いつも、『柔らかそうで綺麗な髪だな〜』
と思って見ていた彼のミルクティー色の髪も、今までで1番近い距離にあって、触って見たい衝動に駆られる。