第16章 ゼロの銃弾
沖矢「調味料もそんなに買い込めないし、材料も有り合わせだったと思いますが、彼が作る料理はいつも美味しかった。
その彼も『椛先生』の仕込みだったとなれば、納得できます。」
椛「そうでしたか…。
話して頂いてありがとうございます。
嬉しいです♪」
恐らく先ほどの話を聞いて、気を遣ってくれていたんだろう。
知らない彼の姿が垣間見えて、とても嬉しくなる。
まぁ、潜入先の組織の話しではあるが…。
暫くすると彼女の自宅が見えてきた。
建屋の前に停めると、彼女は再び沖矢に向き直る。
椛「今日は本当にありがとうございました。
色々無理言ったのに…。」
沖矢「いえ、これもご縁でしょう。
また何か困った事があったら、遠慮なく声をかけてください。」
そう言って少し目を開いて、本来のグリーンアイを覗かせた。
椛「ありがとうございます。
もし何か昴さんも…
と言っても私に出来る事は限られていると思いますが、何かあったら力になります。」
沖矢「ふふっ。」
(もう十分、色々頼りにしているがな。)
軽く笑っただけの沖矢に疑問を持ったのか、首を傾げる彼女。
沖矢「いえ、次の講座は3日後ですね。
またよろしくお願いします。」
椛「こちらこそ、よろしくお願いします。」
沖矢「では、これで失礼します。」
椛「はい、ありがとうございます♪」