第16章 ゼロの銃弾
話ぶりはいつもぶっきらぼうだけど、根はとても優しい人だ。
そんな彼の優しさが、今日はとても身に沁みる。
椛「そっか…。
けど本当ありがとう♪」
赤井「あぁ。」
片付けが終わると、
赤井「もう夜だから家まで送る。」
と言って車を出そうとする赤井。
今日は迷惑をかけまくっているので、流石に悪いと思って断るが、
赤井「米花町は事件が多いから。」
と言われてしまうと、もうそれ以上こちらは何も言えない。
お言葉に甘えて送ってもらう事にする。
真っ赤なスバルに乗り込むと、夜道を走る。
実はお互いの家はそんなに離れていない為、すぐ着くだろう。
沖矢「それにしても『彼』が『椛先生』の生徒さんだったなんて驚きましたよ。
しかも僕の先輩に当たりますね、そしたら彼は。」
帰りの車内の中。
車内といえども急に何かあるのか分からないため、変声機をオンにして『沖矢昴モード』で話を続けていた。
椛「先輩…。
まぁ、確かにそうですねw」
沖矢「…以前、遠方の任務で、数週間程コンドミニアムを借りて、3人で一緒に住んでいたことがありましたね。」
椛「へぇ〜!
そんな事が!
それでそれで?」
沖矢「毎食外食だと飽きるし、だからと言って、数週間で退出する様なコンドミニアムに、そんなに色々食材を買い込んだりは出来ないですが、『健康にも悪いから』と言って、彼が色々食事を作ってくれていたんですよ。
定期的に。」
椛「ほぅ!!」
(ヒロ君らしいな…)
その言葉を聞いて思わず笑みが溢れる。