第16章 ゼロの銃弾
微睡の中、目を覚ます。
リビングにある大きな窓に目を向けると、外はすっかり暗くなっている様だ。
椛(私…あのまま寝ちゃったのか…。)
赤井「起きたか。」
椛「…秀一。」
先程同様、見た目は沖矢、声は赤井のままの彼が、キッチンからやって来て、ソファに座る。
椛「今、何時ぐらいなの?」
赤井「18時半を回った所だ。」
椛「…2時間ぐらい寝てた?」
赤井「あぁ、そうだな。」
椛「みっともないところを見せてしまい…
そしてそのまま寝てしまうなんて…
ご迷惑をおかけしました。」
身体を起こして頭を下げる彼女。
赤井「いや、別に大した事はない。
それより、気分はどうだ?」
その言葉に顔を上げた彼女は
椛「うん…。
なんか寝たからなのか…
スッキリしてる…。」
赤井「そうか、それなら良いが。
腹は減ってるか?
そろそろ夕飯の時間だが。」
椛「…何作ってたの?」
赤井「肉じゃがだ。」
椛「肉じゃが…」
赤井「『椛先生』の本みりんと、醤油で作ったぞ。
食べるか?」
椛「…食べる。」
その彼女の言葉を聞くと、少し安心した様に笑みを浮かべた。
赤井「準備をするから、顔を洗ってこい。
酷いぞ。」
椛「むっ!
否定はしないけど、言い方!!」
赤井「ふっ。いつも通りそうで良かったよ。」
どうやら、からかわれた様だ。
けど実際酷い顔だろうし、確かにご飯前に洗ってスッキリしたい気分でもあるので、素直に従う。