第16章 ゼロの銃弾
景光「椛さん?」
椛「うん?」
景光「椛さんに頼みたい事があるんだ。」
椛「うん、なぁに?」
景光「…これからも、ゼロの側に居てくれないですか?」
椛「ゼロ…
ヒロ君のゼロ君?」
景光「そう。そのゼロ君。」
その言葉を聞いた彼女は目を逸らし、悲しそうに俯く。
椛「…私には無理だよ…。」
景光「?
なぜです?」
椛「…私は普通の一般人だもん。
公安の人とは、一緒に居られないよ…。」
未だ、腕に収まるその酷く悲しそうな彼女の様子を見て…
『恐らく、自分が公安に配属された事によって、会えなくなった事を思い出しているのだろう。』
そう思った。
当時の事を思うと、居た堪れない気持ちになるが…
再び彼女に声をかけようとしたその時…
松田「いやいやいやいや!!
どぉ〜見ても、もう『普通』の一般人ではないだろ!
お姉さんは!!」
景光の後ろにいた人物から声がかかる。
抱きしめていた腕を緩めて、景光の後ろにいる人物に目を向ける。
今、言葉を発したのは、この癖毛のお兄さんだろう。
椛「??」
言葉を発した人物を特定した彼女は、その人物に目を向けると、同じくこちらを見ている彼と目が合う。
頭にクエッションマークを浮かべたまま、首を傾ける。