第16章 ゼロの銃弾
椛「ヒロ君…
ヒロ君……ヒロ君…。」
彼の胸に顔を埋めて、何度も何度も名前を呼ぶ彼女。
景光「椛さん…
ずっと、ずっと会いたかったんだ…
本当は……」
景光はそんな彼女を、愛おしそうに抱きしめる。
暫くそのまま抱擁を満喫するが、彼に頭を撫ぜられ、髪の感触を楽しむ様に髪をすかれている事に気付き、だいぶ気持ちも落ち着いて来たのか、ここでようやく顔を上げる。
随分と男っぽく、大人っぽくなった顔つきだが、優しい笑顔は変わっていない。
変わったことと言えば…
椛「…ヒロ君、髭生えてる…。」
彼の背中に回していた右手を前に戻して、彼の頬に手を伸ばす。
頬から顎に生えている髭を触り、髭の感触を確かめる。
その彼女の行動に、景光は少し、くすぐったそうに体を捩るが…
景光「ははっ!
そうなんだ。
髭、生やしてみたんだけど、どうですか?」
景光の質問に、彼女は少しばかり思案するが…
椛「うん……
私は生えてない方が…好きかも。」
素直に思った事を口に出した彼女と、
そのセリフを後ろで聞いてた3人からは、吹き出すような笑い声が聞こえた。
景光「じゃあ、今度からは髭剃ろうかなw」
そう言って困った様に笑う彼の表情は、昔と変わらない。