第16章 ゼロの銃弾
蒸らしていた紅茶を、ポットからカップに注ぐ。
そのカップに口をつけるが、何だか口に含む気になれない。
その様子を見た赤井からは
赤井「とりあえず飲め。」
と即される。
彼女は言われるがまま、紅茶を口に含むと茶葉の良い香りが鼻を通り、少し気が休まる事を感じた。
赤井は両膝にそれぞれ肘をつけ、静かに話し始めた。
赤井「…俺がまだ組織に居る頃…
ちょうど同じ頃、頭角を著していたメンバーがいた。
そして同じぐらいの時期で、コードネームを与えられた。
それがスコッチと、バーボンだ。
俺たちはよく、3人組まされて組織から指令を受けていたからな。
共に行動する事も多かった。」
その赤井の話を静かに聞いている彼女。
椛(…先程の黒田さんの話でも感じていたけど…
本当に、ヒロ君とゼロ君は組織でもずっと一緒にいたのか…。)
赤井「暫く何事もなく、組織で活動していたが、ある時、スコッチがNOCだという事が組織にバレた。
組織からは抹殺命令が出ていたが、俺は以前から公安からのスパイだと勘付いていたんでな。
逃亡させるつもりで、奴の元を追ったんだ。
自殺を図ろうとしていた所を止めに入り、俺もFBIからの潜入捜査官だという事を明かした。
そのまま死んだ事にして、逃す手筈だったが…。」
そこで、赤井の言葉が途中で止まる。