第16章 ゼロの銃弾
彼女は向けられたパソコン画面を黒田に返して、短く息を吐く。
椛「…分かりました。
教えて頂きありがとうございました。
無理を言ってすみません。」
黒田「いや。」
暫く2人の間に沈黙が流れる。
椛「…表向きは、生存していることになってるんですか?」
黒田「あぁ、そうだ。」
椛「…そうですか。
分かりました。
今度、諸伏警部に会ったらそのつもりで接します。」
黒田「助かる。」
椛「私は今まで通り、引き続き協力者を続けても構いませんか?」
黒田「こちらはもちろんそのつもりだ。
椛さんがそれで良いのであれば。」
椛「分かりました。
これからもよろしくお願いします。」
黒田「あぁ。こちらこそ引き続きよろしく頼む。」
椛「こちらこそお時間取らせてしまい、すみませんでした。
また来週よろしくお願いします。」
黒田「こちらこそ。
何かあったらまた連絡してくれ。」
椛「分かりました。
では今日はこれで、失礼します。」
そうして彼女は先に、部屋を退出して行った。
黒田は、彼女が退出していったドアに静かに目を向ける。
黒田(彼女には話しても問題ないと思ったが…
涙は見せないか…。
やはり、思っていた以上に腹が座っている。)
先程まで開いていたパソコンを閉じて手に持ち、黒田も部屋を退出した。