第16章 ゼロの銃弾
椛「数ヶ月前、黒田さんから協力者の話を頂いた時、自分に務まるのか不安はありましたが、私に出来る事があるなら、日本のために精一杯尽力したいと思った事は事実です。
けど、話を頂いた即日で話を受ける事を決めたのは、
『公安の協力者』
になれば、彼のその後についての情報が、手に入るかもしれないと思ったからです。」
彼女のその言葉に、先程から静かに話を聞いていた黒田の表情が、若干強張る。
そんな黒田をよそに、話を続ける彼女。
椛「協力者としての活動の中で、何が情報が掴めるかもしれないと思ってました。
そして先日、諸伏警部に出会いました。
あんなに、警察官になる事を切望していた彼が、警察官を辞めるはずがありません。
唯一の実の兄に、警察官になった事を報告した後に、『辞めた』と更にあえて連絡したなんて、そう言わざる終えない状況だったんじゃ無いかと思いました。
特殊任務の中でも、更に危険な任務に配属されたとか。
やはり彼は、公安関係に所属してたのですか?
それなら、黒田さんはご存知なんですよね?
彼はその後どうなったんですか?
生きてるんですか?」
その彼女の問いに黒田は答えない。
2人を覆う空気が張り詰める。