第16章 ゼロの銃弾
黒田「…何故そのような事を聞くんだ?」
椛「一昨日の夜、報告書にも上げた通り、彼とコナン君達と一緒に長野に行ってました。
そこで事件に遭遇し、長野県警の諸伏高明警部とお会いしてます。
その時、諸伏警部に『弟さんは元気か?』
と尋ねましたが、ある日突然、
『警察を辞めた』
と数年前に連絡が来たきり連絡を取ってないと言ってました。」
黒田「ほぅ…それで?」
椛「私は、諸伏警部が弟さんと連絡が取れなくなる更に前、彼が警察学校を卒業した日を最後に、連絡が取れなくなりました。
その時の私は
『一般の人間には伝えられない、特殊部隊に配属された』
のだろうと思っていました。」
淡々と話す彼女の言葉に、無表情で耳を傾けている様子の黒田。
荷物も詰め終わり、そんな黒田を真っ直ぐ見上げながら彼女は話を続ける。
椛「当時の私は、警察組織にそんなに詳しく無くて、彼の事をきっかけに、警察官の配属先について色々調べるようになったんです。
結果、彼は恐らく『警察庁警備局警備企画課』か、『警視庁公安部』に配属されたんだろうなと思っていました。
…それでも、私にはその先を確かめる術が無い為、
『彼が無事、職務を全うし続けてる事』
を願う事しかできませんでした。」
矢継ぎに話をすると彼女に対して、黒田は黙って耳を傾けていた。
黒田「…何が言いたい?」