第16章 ゼロの銃弾
「バン!!」
「バン!!」
「バン!!」
ここは拳銃の訓練を行う射撃場。
協力者の件を引き受けてからというもの、定期的に訓練に訪れている。
既に訓練を受けるようになってから、早数ヶ月。
もう射撃もすっかり、様になってきたように思える。
今日予定の練習分だった全弾も、無事撃ち終わり、彼女は黒田に目を向ける。
頷く黒田を確認して、イヤーマフを外した。
黒田「もう、直立射撃は全く問題ないな。
次回から移動射撃に移ろう。」
椛「はい!ありがとうございます!」
黒田「まさかこれだけの短期間で、ここまで来るとは驚いたよ。
君は本当に筋が良い。」
的に目を向けると、全弾綺麗に的の中央に当たっている。
椛「黒田さんの教え方が上手いからですよっ!!」
謙遜するが、褒められる事は素直に嬉しい。
黒田「まぁ、いい。では今日は上がろう。」
椛「はいっ!」
貸切の終了時間が近い為、ササっと片付けに取り掛かるが、そんな中、今日は彼女が黒田に声をかける。
椛「黒田さん、お聞きしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
黒田「なんだ?」
椛「黒田さんは、『諸伏景光』をご存知ですか?」
彼女が口に出した名前に、一瞬、目の奥を光らせる。