第15章 郷愁の味覚(テイスト)
景光「椛さんは、僕に無いものを沢山持ってる人だという事が、よく分かりました。」
椛「あはは!
それは逆も然りでしょw
ヒロ君の方が出来ることは多いよ。」
景光「椛さんは自分の思いを既に形にしています。
それは叶いませんよ。」
椛「それは、ちょっとだけ先に、社会に出てるか出てないかの違いでしょw
ヒロ君だって、これからそうなっていくよ。
私よりもよっぽど、大きな事を成し遂げそうだよ、ヒロ君は。」
頭上にある桜の花達と、空を仰いでいた目線を共に戻し、隣に座る彼を見つめる。
視線に気付いた彼も、彼女に視線を戻した。
目が合い、お互い見つめ合う。
景光「この数ヶ月、椛さんと、色々話が出来て、一緒に時間を過ごす事が出来て、本当に良かったです。
自分のやるべき道は決まってたけど…
更に強い確信に固まりました。
このタイミングで、椛さんに出会えて本当に良かった…。」
優しくも、力強さを感じさせる彼の瞳が、彼女を真っ直ぐ見つめている。
椛「そんな、大袈裟だよ…
私に出会わなくても、ヒロ君は警察学校に行く道を選んでただろうし、どっちみち立派な警察官になる人だよ。」
景光「…
警察学校を卒業して、寮を退出したら、いの一番に椛さんに会いたいです。」
椛「ふふふっ。分かった。
じゃあ次会えるのは、卒業式の後だね。」
景光「はい。
それまで警察学校で精進してきます!!」
そう言って敬礼のポーズを彼女に向けた。
その姿を見て、彼女も嬉しそうに彼に向けて敬礼を返した。