第15章 郷愁の味覚(テイスト)
椛「そうかな?
けど、もうそこまできたらしょうがないよね。
『営業妨害で訴えます』って書面送りつけるよ。
元カレだし、基本向こうの住所、こっちも知ってるし。
売り上げ損失出てる時は、請求書と詳細付けて内容証明で送りつけるよ。」
景光「そーゆー所はちゃんとしてる…」
椛「法学部の方にお褒め頂くと嬉しいですw
そもそも、そーゆー事する人だと見抜けないで、付き合ってしまってる私にも非はあるし。
それか、本来はそーゆー人じゃなかったのに、私がそうさせてしまったのかもしれないじゃない?
世の中色々な人がいるからね。
それに、こっちはお客様あっての仕事だからね。
そこは線引きしないと、回せないから。」
そう言って話す彼女は、まさしく大人の女性で、、、
普段は気さくだし、明るくて話しやすいし、人当たりも良いが、、、
いつもは見せない、経営者としての顔を垣間見た気がした。
否が応でも自分がまだ学生だという事を、世の中の人生経験の少なさを、思い知らされる…。
いや、そんなことは初めから分かっていたことだ。
再び俯いて、静かになってしまった景光に気をかける。
椛「やっぱり、話すべき話じゃなかったね。
ごめんね、変な話をして。
今の話は忘れてね♪」
その彼女の言葉に顔を上げると、いつもの、いつも見ている穏やかな笑顔をこちらに向けていた。