第15章 郷愁の味覚(テイスト)
椛「…私の中ではとっくに終わってたんだけど、綺麗に別れないとストーカー化されそうだと思って、静かにフェイドアウトしてたんだけど。
実際に別れ話したら、まだタイミング早かったみたいで大激怒されて。
彼は同棲して、そのあと結婚したがってたんだけど、そもそもこっちは別れ話してるのに、そーゆーの無理だからと私はずっと言い張ってて。
私の事を家政婦扱いというか、とにかくドリームキラーパワーが凄くて。
『もう家に来ないで』って言ってるのに、私の家にしょっ中くるし。
まだ仲良かった頃に渡してしまった、家の鍵も返してもらえなくて。
しょうがないから、不動産屋さんに事情を説明して家の鍵変えてもらって。
だからもう、彼は私の家の中には入って来れないんだけど。
それで家に入れない事に激怒して、余計に外で騒ぐから、このままだと近所迷惑だと思って。
気に入って住んでたお家だったけど、引っ越そうと思って、引っ越し先が決まって、来週引っ越しの日なの。
まとめると今そんな感じ。」
簡潔に話したつもりだったが、目の前に座る彼を見ると、口を開けたままポカーンとしてる。
椛(分かりずらかったかな?
流石に要約しすぎたか…??)
固まったまま、動かなくなってしまったので、彼の顔の前で『おーーーい』と手をパーにして振ってみる。
するとハッとした顔をした。
どうやら意識が戻ってきた様だ。