第15章 郷愁の味覚(テイスト)
しかし、すぐにいつもの様子に戻る彼女。
椛「う〜ん…
私は別れてるつもりだけど、完全に切れてない様な人はいる。」
景光「えっ??どーゆー事ですか??」
椛「う〜ん…
そんな面白い話じゃないし、生徒さんに話す様な話じゃないよ。」
先程まで、楽しそうにお菓子を観察していた手を止めて、箱にしまい始める。
パッと見は一見、いつも通りに見えるが、
なんとなく、一線を引かれてしまった様な気がしたが…
引き下がる事はしない。
景光「…どんな内容か予想が付かないけど、もし何か困ってて、力になれることがあるなら力になりますよ?」
その言葉に彼女は、顔を上げて彼の顔を見る。
いつもは優しく穏やかな表情をしている彼だが、何だか今目の前にいる彼は、とても逞しく見えた。
椛「う〜ん…
けど、聞いても面白い話じゃないと思うよ?」
景光「大丈夫です。」
椛「飽きれるかも。」
景光「そんな事ないですよ。」
椛「う〜ん…」
景光「良ければ聞かせて下さい。」
椛(…そうだった、この彼は粘り強くて、実直な子だった。)
絶対引き下がらない彼の様子に、何だか、話すまで帰してくれそうもない気がしてきたので、結局は話すことに決めた彼女。