第15章 郷愁の味覚(テイスト)
椛「分かった。そこまで言うなら。
後でちゃんと請求するから。
そしたら、これから買いに行く材料費はとりあえず、お言葉に甘えてお願い出来るかな??」
景光「当然ですっ!!」
どうやら納得してくれたようだ。
実直な彼の性格が良く分かる。
普段とは少し異なり、力強く発したその言葉に、思わず笑みがこぼれた。
物腰柔らかく、優しい話し方で、一緒に受講してる他の生徒さん達からも、いつもよく頼りにされている姿を目にしている。
椛(本当にいい子だな。
『the好青年』って感じ…)
そうして一度外に出て、2人で買い出しに向かう。
昨日がクリスマスだったため、イルミネーションの余韻が残る街並みを歩く。
まだ夕方前だが、既に辺りは暗くなり始めていた。
パン屋の方が少し遠いため、先にパン屋に行って、一緒にパンを選び購入する。
時間が夕方近かった為、サラの食パンは既に売り切れており、現時点で店頭に並んでいるパンの中から、彼女がおススメした『ライ麦食パン』を選び、今日は取り敢えずそれで作る事にした。
日が落ちた夜道は外套を羽織っていても、やはり寒さを感じる。
気持ち早るその足で、野菜を購入する為、スーパーに寄った。
椛「サンドウィッチに挟む野菜は何が良いかな?
正直なんでもいいけど、とりあえず、レタスは入れる?
あと、ヒロ君が他に好きな野菜があれば♪
それも入れよう?」
どんな野菜を入れるか思案しつつ、野菜コーナーを並んで歩く二人。