第14章 長野のコウメイ警部
椛「安室さん、あれ…。」
椛(前のトラック、結構ヤバいんじゃないか?)
安室「椛さん、しっかり捕まっててください。」
椛「!?」
安室がそう言った瞬間、前のトラックが対向車線側のガードレールにぶつかり、その反動で、荷台の扉のロックが外れたのか、扉が開き、そのまま積荷の荷物が大量に流れ落ちてきた。
椛(えっ!?メロン!?)
目の前に、荷台に積まれていた大量のメロンが、段ボールと共に物凄い勢いで転がってくる。
運転席に座る安室を見ると、今まで見た事ない表情。
目が血走っている。
椛(ちょっと…
このお兄さん、何かする気だな…)
その瞬間、一気に重心のかかり方が、左に傾く。
椛(えっ!?何!?片リン!?)
安室は一気にギアを変えると、ワザと右側のタイヤをガードレールに触れさせ、その隙に左側に車体の重心を一気に乗せた。
そして片リン走行で荷物達が当たる直前、更に一気に加速し、トラックの左側からそのまま追い越し、トラックの前に車を着けた。
「ガシャン!!」という音と共に、車体は4輪に戻り、そのまま走行を続ける。
椛(…この人、ヤッバっ!!)
バックミラーで、後ろを走るトラックの運転席を確認すると、ハンドルに突っ伏してる運転手の姿が見える。
どうやら運転手は気を失っているようだ。
その様子を2人が確認した瞬間、未だ何とか道路上を走り続けていたトラックは遂に大きく蛇行し、そのままの勢いでガードレールに突っ込み、道路上を大きな音をたてながら横転し、クラッシュした。