第13章 雨のWednesday
もちろんそれは本心だ。
だが、『彼女の為』を思って言ってるように見えても、一番フォーカスしてるのは『俺自身』の方で、彼女の為を本当に思っていると言えるのだろうか。
彼女はあの時、最善の行動を取ったまでで、何も間違った事も、悪い事もしていない。
俺はその事象に自身の考えと欲を、彼女に押し付けてしまった。
安室(最近、俺はやはり少し変だ…)
自傷気味に苦笑すると
安室「全く…
俺は完全に子供みたいだな…」
椛「えっ?」
安室が何か言葉を発した事は分かったが、雨の音もあり、彼女に内容は聞き取れなかったようだ。
安室「いえ、ぶり返すようで申し訳ないですが、僕は先程、食事前に、椛さんに大変失礼な事を言ってしまっていたなと思い…
本当にすみません。」
突然、謝ってきた事を不思議に思うが、きっとこの数時間の間に、何か彼の中で葛藤があったのだろう。
椛「人にはそれぞれ色々な考え方があると思いますし、
安室さんが私の事を、心配をして言ってくれていたという事は分かりましたので…
そんな顔しないでください。」
いつも自信で満ち溢れている彼の顔が、いつもより少し幼く見えた。