第13章 雨のWednesday
目的の車の前に着いたので、とりあえず中に入り、お互いシートベルトをつける。
安室「椛さんといると、気付かされる事が多いですね。」
椛「えっ?」
安室「今まで、蓋をしていた感情を掻き乱されると言うか…
自分自身、見て見ぬフリしていた部分を曝け出されると言うか…。」
椛「そうですか?
けど、それって良い事ですね!」
安室「良い事?」
椛「良い事ですよ!
物事は何でも定期的に動かさないと停滞して、澱むじゃないですか。
感情の撹拌も時には大事ですよね♪」
安室「ほぉ…
そんな事、考えた事も無かったですが…
言われてみると、その通り過ぎてぐうの音も出ないですねw
…僕も、雨の形を観察できるぐらい、心の余裕を持って生きたいものです。」
そう言った彼の表情は、今日一番晴れやかに見えた。
椛(何か突っかかりが溶けたのかな?)
椛「そうですか?
そしたら今度は霧雨じゃ無い時、また違う形の雨を一緒に観察しましょう♪」
安室「それは良いですね♪
雨の日が待ち遠しくなります。」
椛「ふふふっ♪」
比較的、いつもは明るく楽しい空気が漂いがちの車内だが、今日は今までで1番穏やかな空気の中、2人は帰路についた。