第13章 雨のWednesday
安室「椛さん?
見上げて何を見ているのですか?」
椛「あぁ、落ちて来る雨の形を見ているんです。」
安室「えっ?雨の形?」
安室(どう言う事だろうか?
言ってる意味がよくわからない。)
そんな安室を気にすることなく、変わらず傘の隙間から空を見上げている。
何も言わなくなってしまった安室を気にして、彼を見上げると、怪訝で悩ましい顔をしていた。
『言葉足らずだったか』と思い、彼女は説明を付け加える。
椛「…雨って、落ちて来る水分子の量で形が全然違うんですよ。
今日は霧雨。
一番軽い雨。
粒子が細かくて、とても美しいと思いません?
雨の中で一番好きな形の雨です。」
説明を終えると、隣に立つ安室に微笑みかけてから、再び目線外に向けていた。
安室(そんな事、、、
考えた事もなかった、、、。)
そもそも、雨をそんな観察した事も無かったし、しようと思った事も無い。
何となく、自分とは物の見方と、そこに目を向ける事ができる『心の余裕』が全然彼女と自分は違うんだなと、ふと思う。
そう思うと、食事前に自身が言った発言が、罪悪感とは別に、とてつもなく恥ずかしく感じてきた。
『心配だ』と言いつつ、、、