第13章 雨のWednesday
食事を楽しみながら、会話を続けるが、安室の心内と言えば…
安室(なんで、俺はあんな事を言ってしまったのか。
思わず強めに言ってしまったが、明らか彼女は引いていた。
そう、あの日だって、彼女は何も悪い事をしていない。
ただ、犯人逮捕に協力していただけじゃないか。
誰も傷つく事なく、無事逮捕できたのは、あの時の彼女の機転と行動のおかげだ。
それに先程、大人の対応をしたのは彼女の方。
『これ以上やりあっても意味ない』と気を使わせて、更には引かせてしまった。
駄々をこねた子供の対応をする、大人と子供の図だ。
俺に、彼女の行動を制限する権利など、持ち合わせて居ないのに…
これではまるで、ただ相手の行動を『束縛』したい『彼氏』ようだ。
もちろんそもそも『彼氏』でも何でもないのだが…。)
いつもより、少しぎこちない雰囲気を引きずってしまった食事が終わり、お店を出ると彼女を送るため、2人で駐車場に向かう。
傘をさして、隣を歩く彼女を横目で見ると、傘を少し斜め上に上げて、軽く空を見上げながら歩いていた。
安室(こんな夜の雨空の何を見ているんだろう。)
特に見て楽しいものは無いように見えるのだが…
変わらずそのまま歩く彼女を、不思議に思い声をかけた。