第13章 雨のWednesday
安室「それにしても、あの時は驚きましたよ。
椛さん、柔道やってたんですね。
綺麗な背負い投げでした。」
先日の光景を思い出しているのか、少し高揚した様子で安室が話を進める。
椛「あぁ〜…
私、柔道はやってないんです。」
安室「えっ??そうなんですか!?
てっきり…
ではなぜあんな事が出来たのですか?」
少し安室の目が、一瞬だが怪しく光った気がした。
椛「いやぁ〜、実は、私、子供の頃、柔道習いたかったのですが、親に話をしたら、
『そんな危ない事しなくて良い』
と大反対されて…。
当時、女子柔道が結構流行ってたんですよね。
試合の様子をテレビで見てて
『背負い投げカッコいい〜!』
と言う気持ちを捨てきれなくて、親に内緒で、柔道やってる友達に背負い投げだけ、教えてもらって練習したんですよ。
なので、『柔道の技』は背負い投げだけ、出来るようになりましたw」
安室「ほぉ〜。なるほど。
何というか…
椛さんらしいですね。」
顎に手を当てて感心したように、彼女に目線を向けてる。
椛「そうですか?
今では笑い話ですけどね。
先日は久しぶりだったので、ちょっと不安でしたが…
綺麗に決まって良かったですw」
まるで『エヘヘ』とでも言うように、首を傾けて苦笑する彼女とは対照的に、安室は少し表情が固くなる。