第11章 追憶のカラクリ箱
安室「何かありました?」
運転しながら、横目でこちらを見ながら様子を伺ってる。
椛「あぁ、昔その歌よく歌ってる友人がいて、ふと思い出しただけです♪」
安室「そうですか。」
椛「その曲入ってるんですか?
今かかります?」
安室「あっ、かかりますけど…
かけますか?」
椛「久しぶりに思い出したら歌いたくなったので、是非!」
安室「あはは!
そうですか、ではかけましょう♪」
そうして夜の高速を走るRX-7の車内で、「ふるさと」を歌い始める大人2人。
まさかこんな夜道を、こんな車で大人2人で歌ってるとは誰も思わないだろう。
最後のフレーズを歌い終わると、どちらとも無く顔を見合わせて、声を出して笑い合った。
なんとも平和な時間だ。
そうこうしている内に、車は湾岸エリアに出た。
椛「おぉ、夜景が綺麗ですね。」
安室「えぇ、とても。」
結局、ふるさとを歌った後、新しい音楽はかけず、音消えた車内では、2人の声だけが静かに響き渡る。