第11章 追憶のカラクリ箱
安室「それにしても、椛さんはカラクリ箱開けるの、得意なんですね♪」
こちらは帰りのRX-7の車内の中。
駅に向かって歩く子供達と途中で別れ、こちらは2人で帰路につく。
椛「そんな事ないですよ。
それに、あのままでも、暫くしたら安室さん、1人でもあけられそうでしたよね。」
安室「いやぁ〜、
時間をかければ確かに可能だったかもしれないですが、あんな短時間で空けられたのは、椛さんがいたからですよ!
1人じゃ絶対無理ですよ。
しかも中々の本気モードでしたねw」
先程のことを思い出しているのか、安室は楽しそうに話し始める。
椛「結構細工も細かかったですよね。
カラクリも中々凝ってたけど、柄も素敵でしたね〜♪」
安室「椛さんはカラクリ箱詳しいんですか?
さっきも言いましたが、中々慣れた手つきに見えましたよ?」
椛「詳しいとまではいかないですよ。
カラクリ箱って可愛いじゃないですか?
鍵を必要としない知恵の結晶的な所が好きだったのと、ネジも留金も必要とせずに木だけでカラクリ作るのって、手先の器用な日本人ならではだな〜と思って。
一度作ってみたくて、昔作った事があるんです。」
安室「えっ??
作ったってカラクリ箱をですか??」
椛「そうです。
1個だけですけどね。
カラクリ箱作りの講座に、通った事があったんです。
すごく仕組みが細かくて、発狂するかと思いましたw
なので、作ったのはそれきりです。」
安室「それであんなに、カラクリ作りの仕組みに詳しかったんですね。」
椛「人生無駄な経験って一つも無いですね。
それをさっき、感じてましたw」
安室「あははは!!
確かにそうですね。
全ては経験の積み重ねですからね。」
テンポよく続く会話に、車内には穏やか空気が流れる。
車は颯爽と大通りを走る。