第11章 追憶のカラクリ箱
藍子「それで!?
あの投げられた草履は大丈夫だったの!?」
これはもう誤魔化しが効かないと、諦めた彼女はバツが悪そうに、
椛「…履けないわけでは無いですけど、片方、サイドの側面が擦り切れてしまったので…
修理には……
出しました。」
藍子「ほらぁぁぁぁぁ!!
そうでしょ!!
あんなに思いっきり投げてたものね!
遠くからでもいい音聞こえたわよ!!」
安室「ははははっ!!」
流石に耐えきれなくなったのか、遂に声を出して笑い始めた安室。
そんな様子に気づいた椛は一瞬、
「キッ!」
と安室の方に視線を向けるが、
そんな彼女の事を見て見ぬ振りをして、笑い続けていた。
椛「そうですけど…
あの時履いてた草履はここまで立派な物でも無いですし…」
藍子「そんなの関係ないわよ!!
もし迷惑なら無理にとはもちろん言わないけど、合って困る物じゃないでしょ?
それにあの日の帰り、『あなたにこの草履、似合いそうだな〜』と思って私は帰路についたの。
椛さん?
どうかしら??」
安室「ご厚意に甘えていいと思いますよ。」
先程までダイニングテーブルで楽しそうに笑っていた安室が、2人の元にやってきて、彼女の隣に座った。