第11章 追憶のカラクリ箱
藍子「ちょっと柄が若めだけど 、5年ほど前に気に入って購入したものなの。
けど、家に持って帰ってきて自分の着物に色々合わせたのだけど、中々今持っている着物に合わなくてね。
一度も使ってない物なのよ。
良かったら貰って使って下さらない??」
椛「えぇっ!?」
藍子の言葉に思わず驚きの声をあげる。
かたや藍子は、そんな彼女の様子を気にもせず、微笑みかけている。
椛「あぁ〜…
お言葉は嬉しいですが。
これ…
かなり良い品物ですよね…。
そんな…
流石に頂けませんよ…。」
一目で良い物だと分かるその品に、流石に気が引けるのか、丁重にお断りをする彼女。
そんな様子を見た藍子は
藍子「このまま私が持っていても、箪笥の肥やしになるだけだし、使って下さる方がいるなら、沢山使ってもらった方が、
職人さんも、この草履も、このバックも、本望だと思うの。」
椛「確かにそうでしょうけど…」
藍子「それにあなた、
あの時、犯人に向けて草履、投げつけてたでしょ?!
あんなに思いっきり投げてあの草履、
傷んだり壊れたりしなかったの?
遠かったけど、後ろから見てたわよ!!」
椛「あぁ〜〜〜…
見られてましたか…w」
『えへへ』とでも言うように、苦笑いを向ける彼女。
そんな様子をダイニングテーブルの方から見てた安室は、当時の事を思い出したのかクスクス笑っている。