第9章 芝浜離宮恩賜庭園
我ながら言った後に、
『なんて子供じみたような事』を言ってしまったのだろう。
と思う。
けど、言わずにはいられなかった。
その言葉を聞いた彼女は、眼を見開き、驚きの表情を浮かべている。
一方、質問を投げかけた彼の方は、不安げに揺れるライトブルーの瞳を、真っ直ぐ彼女に向けている。
彼女から見る、その安室の表情は、まるで『捨てられる子犬』のような目に見えた。
椛(なんで…?
そんな表情で見つめないでほしい…
お願いだから…。)
暫く驚きの表情を浮かべてはいたが、そのまま柔らかく微笑み、
椛「そうですね、、、
安室さんがそう思ってくれるなら、、、」
未だ彼女の右手を掴んでいる安室の左手に、彼女は自身の左手をふんわりと重ねて
椛「是非付けてください♪」
そう言って重ねた左手を、まるで子供をあやすかの様に「トントン」と優しく2回たたき、一段と明るく、大きな笑顔を彼に向けた。
心臓が、鷲掴みにされたかの様に大きく「ドクリ」と波打つ。
向けられた笑顔は花に例えるならば、まるで『大輪のひまわり』の様だと安室は思った。
安室(…そうだ、
確かに彼女は花に例えるなら、まるでひまわりの様だ。
、、、その季節になったら、彼女とひまわりを見に行きたいな。)
叶うか分からないそんな未来を、少し浮足立つ脳内で思う。