第9章 芝浜離宮恩賜庭園
そろそろ米花駅のロータリーが見えてくる。
今日はこの後、彼女が言うところの『CHANELのブロンドお姉さん』と合流しなければならない。
自身の本来の任務について、今まであまりと言うか、億劫に感じた事は『ヒロの件』があった時以外を除けば無いが、、、
今日は、『このままの時間がもう少し続いて欲しい』と願ってしまっている自分がいることに、少し驚く。
安室(今日は平和な時間に浸りすぎて、少したるんでしまっているな俺は。
まぁ多少の事象はあったが、、、。)
安室にとって、ひったくり犯を捕まえることなど、『挨拶』ぐらいの出来事にしか思っていない様だ。
ロータリーに着くと、空いているスペースに車を停車させる。
彼女はシートベルトを外しながら
椛「今日も色々ありがとうございました!
お仕事、気を付けて行って来てください♪」
そう言って、出て行こうとする彼女の右手を思わずつかみ、呼び止める。
安室「椛さん!」
出て行こうとしたところを呼び止められて
椛(この人は、、、
いつも降り際に引き留めてくれるのは、お決まりの流れなのかしら、、、。)
思わず苦笑し
椛「はい、なんでしょう?」
車を降りようと上げた腰を、再度助手席に軽く降ろした。
安室「先ほど庭園で『仲間』の様と言ってくれた言葉の前に、
『大切な』は、、、
僕には、、、
付きますか?」