第9章 芝浜離宮恩賜庭園
安室「今日はあまり長居できなくてすみません。」
椛「いえいえ!
朝から十分満喫しましたよ♪
こちらこそお忙しい中、お時間作って頂きありがとうございました。」
安室は今日この後、15時に急なアポイントがあるとのことだったので、元々ランチを食べたら解散する予定で、朝早くに待ち合わせをした。
庭園の出口に向かい、そして庭園の専用駐車場に足を向けて進める。
すると突然
「キャァァァァーーー!!
ひったくりよぉーーー!!」
声がする方に目を向けると、黒いパーカーと目差し帽をかぶった男が、女性物の鞄を3つほど抱えて走っていく後姿が目に映る。
被害にあったであろう女性が、取られた反動で転んだのか、道にうずくまっていた。
よく見ると、うずくまっているのは、先ほどバラ園で声をかけてくれた老婦だ。
連れの老夫は追いかけようとしたのか、少し離れたところに立っている。
隣にいた安室は現状を理解すると一瞬で駆けていく。
駆ける途中にあった、駐車場の周りに張り巡らされている、腰の高さまであろうガードレールに片手を付き、走るスピードを落とさずに一瞬で飛び越えると、犯人に向かって一直線に走る。
椛(何今の技、、、めっちゃカッコよ。
ヒーローかよ、、、)