第9章 芝浜離宮恩賜庭園
顔を上げて彼の表情を確認するが、真意は見えない。
けど、どことなく、本当どことなくだが、
悲しそうな印象を受けた。
今、彼は何を思っているのだろう。
椛「安室さん??」
安室「いえ、分かりました。
…変な事を聞いてしてしましたね。
失礼いたしました。」
そう言って微笑む彼は、完全にポアロで見せていた『あの時の笑顔』だ。
目が笑っていない。
何て言ってあげる事が、正解だったのだろう。。。
椛「う~ん、、、
先ほどのご夫婦の前では『友人』と言いましたけど、正直私たちはどちらかと言うと、『友人』っぽさは本当はあまり、無いですよね。」
安室「??」
椛「私はどちらかと言うと、勝手に『仲間』っぽさを感じてるのですが。
ほら、『2人だけの秘密』もありますし♪」
そう言って、人差し指を唇の前にかざしている。
そんな彼女は、まるでいたずらをした後の、してやったり顔に見えた。
安室「ははっ!
なるほど、、、そうですね。
そっちの方が僕もしっくりきます。
そう言う事にしておりましょう。
今のところは♪」
ポアロの時の作り笑いが消えて、自然な笑顔に見える。
椛(うんうん、そっちの方が良いよ。
せっかくお兄さん、綺麗な顔してるのだから。)
その彼の表情を見て、彼女も満足げに笑った。