第9章 芝浜離宮恩賜庭園
普段はヒールだが、今日は草履を履いているため、幾分いつもより彼の顔が遠くに見える。
安室「仮にでも椛さんから『友人』と表現して頂いて、嬉しかったですよ。」
そう言って柔らかく微笑んだ。
椛「そうですか?
それなら良かったですが、、、」
安室「椛さんはご友人が多そうですよね。
なんとなくですが。」
椛「いや、そんな事は無いと思いますけど。
自分では良く分かりませんね。」
安室「椛さんから、僕はどう見えますか?」
椛「えっ?どういった事ですか?」
安室「友人が多いように見えますか?」
椛(、、、何を言わせたいんだろう。)
慧眼と洞察力に長けている彼からくる質問は、時々棘のような物を感じる。
たまに来るこの『棘のような質問』をかわす事が、だんだん慣れてきたような、少し億劫に感じてきたような…
そうも言ってられないのだが。
なるべく、可能な限り、『本質』がバレない様に引き延ばしてほしいと、黒田さんから言われてるし。
椛「うーん、そうですね。
知人は多そうですが、『心を開いている友人』の方はそんなに数多くないというか、、、
必要性を感じていない様に見えます。
大人になるとそんなものかもしれませんが、、、」
安室「、、、なるほど。」
椛「けど、安室さんと仲良くなりたい人は、周りに沢山いそうですね♪
本人が気づいていないのか、あえて気づかないふりをしているのかは、分からないですが。」