第9章 芝浜離宮恩賜庭園
安室「彼女が着ている着物はどんな物なのですか?
お恥ずかしながら、僕は着物に関してはあまり見識がなく…
良ければ教えて頂けないでしょうか?」
老婦「着物には種類と格式が細かく分かれているのですよ。
彼女は今日、白大島を着てらっしゃるけど、本来は泥染と言って『泥で染める大島紬』が有名なのよ。
それは、フランスの『ゴブラン織』、イランの『ペルシャ絨毯』と並んで『世界三大織物』の一つで、『普段着用の着物』としては最高級品なの。
中々のオシャレさんで、着物を着慣れてる方じゃ無いと、着ないようなお着物よ。」
安室「なるほど…勉強になります。
それは凄いですね。」
老婦「そうよ!
お兄さんも随分と良い男だけど、こんな大島着こなす様な素敵なお嬢さん、絶対逃しちゃダメよ♪
今時中々いないわよ!!」
そう言ってお茶目にウインクを投げた。
老夫「そろそろもう良いんじゃ無いか?
あまり2人の邪魔をしては悪いぞ。」
今まで静かに事を見届けていた老夫が、言葉を紡ぐ。
老婦「そうね。
つい話し込んでしまったわ。
ごめんなさいね。
席譲って頂きありがとう。
少し休憩してから私、達は行くわ。
お二人とも良い一日を♪」
椛「ありがとうございます。
お二人も良い1日を♪」
安室「失礼します。」
安室と椛は2人に向かって軽く会釈をして、歩き出した。