第9章 芝浜離宮恩賜庭園
安室「今日はなんとなく椛さんは『薔薇柄のお洋服を着て来られるかな〜』
と思ってたのですが、、、
昨晩『明日、着物で行ってもいいですか?』と連絡来た時は少し驚きましたよ。
けど、良いですね♪
意外と薔薇の背景にもバッチリ合ってますよ!!」
椛「いえ、私も一瞬浮かびましたが、ちょうど『薔薇が満開』と伺ってたので、服まで薔薇柄だと薔薇薔薇しすぎてうるさいかな…と。
あと、『芝浜御苑』と言えばやはり美しい日本庭園じゃ無いですかっ♪
日本庭園には着物で敬意を表して伺いたいな!!
と思いまして♪」
彼女は今日、白大島紬に藍色の帯を結んでいる。
柄の主張が少ないその着物は咲き誇る薔薇とも、日本庭園ともよくマッチしていた。
安室「椛さんはよくお着物着られるんですね。」
椛「そんなしょっ中では無いですけどね。
桜が美しい春と、紅葉が美しい秋はやはり着物を着て出かけたくなります。
夏は着物だと暑いので浴衣ですけどね。
安室さんは着たことありますか?」
安室「多分…
七五三の時が最後じゃ無いですかね。
残念ながら。」
椛「そうでしたか。
着たらとてもよく似合いそうなのに勿体無い…。」
そう言って両手の人差し指と親指で四角を作り、まるでカメラの構図を測るように、彼をそのフレームに入れ、片目で覗き込んでいる。
安室はそんな彼女の姿を見て笑っている。
安室(こんな穏やかな時間を過ごしていると、平和ボケしてしまいそうだな。
…いや、平和な事にもちろん越したことは無いのだが…。)