第9章 芝浜離宮恩賜庭園
薔薇の株の間に作られている道を並んで歩く。
よく見ると、それぞれの薔薇の植木部分には、花の名前のネームプレートも立てられており、興味深そうに名前を読み上げながら、植木の中を進む。
薔薇のアーチを抜け、手入れされた植木ゾーンを抜けると、アンティークブラウンのガーデンテーブルセットが1セット置いてあり、せっかくなので2人で腰掛けみる。
安室「立ってるより、座った高さだと、薔薇の木の高さと目線が近くなって、より花達が綺麗に見えますね。」
椛「えぇ、本当に。」
暫くそのまま静かに2人で庭園の様子を眺める。
何処からか水の流れる音と、鳥のさえずりが聞こえる。
ここで景色を眺めていると、何時間でも見てられる気がして、椅子に根が生えてしまいそうだ。
暫く景色を眺めてていると、ふと視線を感じて隣に目を向ける。
こちらを見ていた彼と目が合った。
椛「??
どうかされましたか??」
安室「いや〜、薔薇の庭園の中に座る椛さんを見ていると、大正時代にでもタイムスリップしてきた様な錯覚に陥りますね。
まさに『大正浪漫』という感じですw」
椛「大正時代ですかw
まぁ〜…
確かにそう言われてみると…」
そう言って自身の袖を上げて薔薇と見比べながら、腕を上げたり下げたりしている。